個人向けのチャットサービス「LINE」や「Messenger」など、プライベートでチャットを利用している人も多いのではないでしょうか?
日常的に利用するチャットをよりビジネスに特化させたビジネスチャットは、矢野経済研究所のアンケート調査によると、2020年6月時点で約45%もの企業が導入※している便利ツール。※対象期間:2020年5月~6月 対象者:7都府県のオフィスに勤務する20歳~70歳代の男女500人
今回は、そんなビジネスチャットを導入するメリット・デメリット、ビジネスチャットの選び方、おすすめツールを徹底リサーチしました。
ビジネスチャットとは
ビジネスチャットとはビジネスに特化したチャットツールで、ネットワークを介してリアルタイムにコミュニケーションをとれます。
ひと昔前まではメールを利用する人が多くいましたが、メールは短文でのやり取りや迅速な意思疎通が難しいですよね。
一方、ビジネスチャットであれば気軽にメッセージを送ることができるので、ファイルの共有や意思決定をスムーズに行えます。
また、ネットワーク環境さえあれば場所を問わず利用できるため、自宅や出張先でもコミュニケーションをとりやすく、リモートワーカーには欠かせない必須ツールと言えるでしょう。
ビジネスチャットのメリット・デメリット
ビジネスチャットを導入するか検討している人は、以下でメリット・デメリットそれぞれを把握したうえで判断してみてください。
ビジネスチャットツールを導入する5つのメリット
在宅・出張先でもチャットに参加可能
ビジネスチャットはインターネット環境があればどこでも利用できるため、出張先や自宅でもこまめにやり取りを確認できます。
また、アプリをデバイス内にダウンロードすることで簡単にやり取りができるので、パソコンだけでなくスマートフォンやタブレットからでも利用可能です。
リアルタイムでコミュニケーションがとれる
メッセージが即時的に送受信できるビジネスチャットは、メールよりもリアルタイムでコミュニケーションをとれます。
ビジネスメールのような硬い文章を作成する必要がなく、ビジネスチャットは気軽にフランクなメッセージを送れるため、緊急を要する情報の伝達・相談も迅速に行えるでしょう。
プロジェクトや業務内容に応じてグループチャットが作成可能
ビジネスチャットでは個人でのやり取りを行う「個人チャット」、複数人が参加できる「グループチャット」の2種類があります。
プロジェクトや業務内容に応じてグループを作成できるので、報告・連絡・相談を効率的かつスムーズに行うことが可能です。
ファイルの共有が簡単になる
ビジネスチャットではテキストによるメッセージだけでなく、資料や電子ファイルの送受信も迅速に行えます。
複数人に同じ電子ファイルを配布したい場合は、グループチャットを利用することによって、1度の送信でメンバー全員がファイルを受け取れます。
文面が残るため言った言わない問題がない
口頭でのやり取りは文面による証拠が残らないため、「言った言わない問題」が発生しがちですよね。
ビジネスチャットは会話の内容がすべて残るので、万が一言い争いに発展した場合は証拠を差し出すことが可能です。
ビジネスチャットツールを導入する3つのデメリット
社内チャットは直接的な会話が減る
ビジネスチャットは、リモートワーカーにとっては通勤せずにコミュニケーションをとれる便利ツールですが、社内で導入する際は直接的な会話が減るリスクがあります。
デスクから動かずに上司へ報告ができるため、ビジネスチャットを導入することで対面して報告を行う機会が減ってしまうでしょう。
解決策として、社員同士の直接的なコミュニケーションを重視している企業は、ファイルやURLの送受信等にとどめるなどのルールを設けることをおすすめします。
情報が埋もれてしまいがちになる
LINEなどのチャットを利用している人は、「会話が弾むにつれてチャット履歴から特定の会話を見つけることが困難になった」という経験があるのではないでしょうか。
ビジネスチャットにおいても同様に、チャットの性質上やり取りが増えていくにつれて情報が埋もれてしまいがちになります。
解決策としては、キーワード検索機能があるビジネスチャットツールを導入することで、会話の一端を検索すると情報の見返しがより簡単になります。
セキュリティ面で情報漏洩のリスクがある
ビジネスチャットは、インターネット上に会話の文言が残るため便利である一方、情報漏洩のリスクがあることは否めません。
特に、社外の人や顧客とコミュニケーションを行ったり、機密性の高い情報を扱ったりする場合、セキュリティ面が不十分だと多くの関係者に迷惑をかけてしまいます。
「高い暗号化技術を採用している」「ISO規格の認証を取得している」など、厳格なセキュリティ対策を公表しているビジネスチャットツールを導入しましょう。
ビジネスチャットの選び方のポイント
初めてビジネスチャットを導入したい人のために、以下ではビジネスチャットの選び方のポイントを紹介します。
便利機能
ビジネスチャットツールは多くの企業から提供されていますが、搭載されている機能はツールによって異なります。
さまざまな機能のなかでも、多くのツールで採用されている便利機能を7つ紹介します。
グループチャット機能 | プロジェクトのメンバーのみでグループを作成することができる。 |
ファイル共有機能 | 外部サービスとの連携により、スムーズなファイル共有ができる。 |
通話機能 | テキストによるチャットだけでなく、音声や映像にて直接会話ができる。 |
キーワード検索機能 | 会話の一端を検索できるため、埋もれてしまった情報を見つけやすい。 |
タスク管理機能 | タスクの詳細(内容・担当者・期限)を共有することができる。 |
カレンダー機能 | Googleカレンダーなどの外部サービスと連携ができるため、普段から利用しているカレンダーツールでスケジュール管理ができる。 |
既読機能 | 相手からの返信がなくても、相手がメッセージを読んだことを確認できる。 |
スマホアプリの有無
【モバイル対応しているサービス】
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「仕事ではパソコンを主に使用している。」という人が多いでしょうが、スマートフォンやタブレットでもビジネスチャットを利用できるとより便利です。
重たいノートパソコンを持ち歩く必要がなくチャットを確認できるため、普段から携帯している端末にアプリをダウンロードしておきましょう。
セキュリティ対策
【公式サイトにセキュリティ対策を公表しているサービス】
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上記のデメリット「セキュリティ面で情報漏洩のリスクがある」に記載した通り、インターネット上にチャットのやり取りが残るため情報漏洩のリスクが伴います。
ビジネスチャットで機密情報を扱うことを考慮して、公式サイトでセキュリティ対策を公表しているツールを導入しましょう。
ISO(国際標準化機構)とは、世界中で同じ品質のものを提供できるように設けられた国際的基準であり、情報セキュリティに関する項目がISO27001です。
また、SSL/TLSやHTTPSによる暗号化、Amazon提供の高いセキュリティを誇るAWSなど、さまざまなセキュリティ対策が存在しています。
コスト
【無料から導入できるサービス】
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ビジネスチャットを利用するにあたって、初期費用やランニングコストはできるだけ抑えたいですよね。
特に、初めてビジネスチャットを導入したいと考えている企業の場合、社員が基本的な操作に慣れるまで無料サービスでお試ししてみてください。
上記のビジネスチャットツールに関しては、「無料で使えるチャットツール3選」で一部を詳しく紹介します。
グループビジネスチャットにおすすめな有料ツール5選
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tocaro
「Tocaro」は立命館大学やNTT西日本、Takashimayaなど幅広い組織から利用されており、2,000社以上もの実績を誇るビジネスチャットツールです。
リアルタイムチャットはもちろん、プロジェクト管理やワークボードといった便利機能を兼ねそろえているため、仕事をより効率的に進められるでしょう。
さらに、金融機関レベルのセキュリティ機能を備えているので、機密情報の社外漏洩のリスクを抑えてくれます。
スタンダード | 月額880円 |
ビジネス | 月額1,100円 |
エンタープライズ | 問い合わせ |
※2021年9月時点
Wow Talk
テレワークや在宅勤務におすすめの「Wow Talk」は、個人単位で機能をカスタマイズできるため、自分の使いやすいように設定することが可能です!
最大5人までのビデオ通話機能、掲示板、タスク管理、ファイル送受信、外部サービス連携など、ビジネスに役立つさまざまな機能が搭載されています。
さらに、台風や地震などの有事災害が発生した際に、社員の安否をいち早く確認できる安否確認機能というユニークな機能も特徴的です。
シンプル | 月額300円 |
スタンダード | 月額500円 |
プロフェッショナル | 月額800円 |
※2021年9月時点
Oneteam
「チームの生産性を高める」ことに重点を置く「Oneteam」は、会議時間を削減することで本来やるべき業務の時間を創出してくれます。
有料プランのみとなりますが、14日間の無料トライアルが用意されているため、しっかりと操作性を確認してから契約することが可能です。
また、利用人数が31人以上の場合はENTERPRISEプランとなり、特別テーブルを案内してもらう必要があるため注意してください。
SMALL | 月額5,445円 |
MIDDLE | 月額12,870円 |
LARGE | 月額19,305円 |
ENTERPRICE | 問い合わせ |
※年額契約の場合※2021年9月時点
direct
「direct」は現場に強いビジネスチャットツールで、大林組、JR西日本、ANAなどのさまざまな業種で導入されています。
ボットをレンタルすることで追加機能が利用可能となり、日報や報告書、勤怠管理、翻訳などの作業をすべてボットに任せることができます。
基本的なボットは無料※でレンタルできるうえ、自分専用にカスタマイズが可能なため、機能性を重視したい人におすすめのツールです。※一部有料
フリー | 無料 |
ベーシック | 月額6,600円 |
プラス | 月額13,200円 |
プレミアム | 月額30,250円 |
マックス | 月額55,000円 |
※2021年9月時点
Chat Luck
「Chat Luck」はインストール不要のクラウド版と、サーバーにインストールを行うパッケージ版の2種類から選べます。
政令市、鉄道・交通、金融・地方銀行など、セキュリティ対策を必須とする組織から多数導入されているので、安心してビジネスチャットを行うことが可能です。
また、メッセージの対応漏れを防ぐ「後で読む機能」、目的の情報を探す「メッセージ横断検索機能」など、ビジネスチャットならではのストレスを軽減する新機能も魅力的です。
クラウド版 | 初期費用0円 |
月額制330円 | |
パッケージ版ユーザーライセンス | 初期費用396,000円~ |
2年目以降79,200円~ | |
パッケージ版ルームライセンス | 初期費用165,000円~ |
2年目以降33,000円~ |
※2021年9月時点
社内チャットにおすすめなツール3選
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Kintone
「Kintone」はカスタマイズ性の高い社内コミュニケーションツールで、アプリを活用することで日報や案件管理、交通費申請、勤怠などを一度に管理できます。
私も実際に利用したことがありますが、1つのツールで社内の共有事項をほぼ管理できるうえ、誰でも使いやすいシンプルなデザインで使い勝手の良さが印象的です!
すべての機能を無料で利用できる30日間の無料トライアルがあるので、導入を検討している人はぜひ一度試してみてください。
ライトコース | 月額858円 |
スタンダードコース | 月額1,650円 |
※2021年9月時点
airy
「airy」では新卒採用、働き方改革、ダイバーシティ推進など、あらゆる用途に合わせて全8種類のサービスを提供しています。
サービスによって特徴が異なり、使用用途に合わせて好みのサービスを選べるため、無駄な機能が排除されて使いやすい点が特徴です。
料金は利用プランや利用人数によって異なるので、導入を検討している人は公式サイトから問い合わせてみてください。
gamba!
「gamba!」はSoftBankや日本通運など15,000社以上の企業から利用されている人気ツールで、「SNS×日報」というこれまでにない新しい仕組みを採用。
タイムライン形式を導入しているためスマホやタブレットでも使いやすく、コメントやいいね機能により日報を楽しく続けられます。
月額980円(税抜)から利用できると記載しているサイトが多いですが、2021年2月19日に料金改定を行っているため、見積もりを希望する人は公式サイトから問い合わせてください。
無料から使えるチャットツール3選
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Slack
「Slack」はグローバル企業のニーズを満たす設計となっており、世界中の企業から支持されているビジネスチャットツールです。
2,400種類以上ものアプリが存在しているため、使用用途に合わせてカスタマイズを行うことで、より生産性を高めて効率的に仕事をこなせるでしょう。
私自身も「Slack」を愛用していますが、特定のメッセージに対して返信を送るスレッド機能や、気軽にリアクションを送れる絵文字機能がとても便利です。
無料 | 無料 |
Pro | 月額850円 |
Business+ | 月額1,600円 |
Enterprise Grid | 問い合わせ |
※2021年9月現在
Chatwork
「Chatwork」は大和証券やMoney Forwardをはじめとする325,000社以上の企業に導入されており、国内利用者数No.1※を誇る中小企業向けビジネスチャットツールです。※Nielsen NetView 及びNielsen Mobile NetView 2020年6月度調べ月次利用者(MAU:Monthly Active User)調査※調査対象44サービスはChatwork株式会社にて選定
シンプルな機能性で誰でも使いやすく、チャットだけでなくタスク管理、ファイル管理、ビデオ通話といった機能も充実しています。
「Chatwork」には無料で利用できるフリーのほか、業務で利用したい企業・個人向けのビジネス、管理機能を強化したい企業向けのエンタープライズがあります。
フリー | 無料 |
ビジネス | 月額550円 |
エンタープライズ | 月額880円 |
※年額契約の場合※2021年9月時点
LINE WORKS
有名チャットツール「LINE」をビジネス向けに開発した「LINE WORKS」は、東京海上日動や明治安田生命、大和ライフネクストなど250,000社以上※で導入されている実力派。※2021年9月時点
日常的に利用するLINEのような使用感なので、ビジネスチャット初心者でも気軽に取り入れやすいツールです。
また、LINEでおなじみのスタンプ機能はもちろん、メール、アドレス帳、タスク管理、Driveなど、ビジネスにおいての便利機能が多数存在します。
フリー | 無料 |
ライト | 月額330円 |
ベーシック | 月額550円 |
プレミアム | 月額1,100円 |
※年額契約の場合※2021年9月時点
おすすめのビジネスチャットツール比較一覧
数多くあるビジネスチャットツールのなかから、人気のツールをピックアップして上記で紹介してきました。
以下では、それぞれ料金・特徴で比較してみたので、ビジネスチャットツール選びの参考にしてくださいね。
料金
無料プラン | 有料プラン | |
tocaro | × | 月額880円~ |
Wow Talk | × | 月額300円~ |
Oneteam | × | 月額5,445円~ |
direct | 〇 | 月額6,600円~ |
ChatLuck | × | 月額330円~ |
Kintone | × | 月額858円~ |
airy | × | 問い合わせ |
gamba! | × | 問い合わせ |
Slack | 〇 | 月額850円~ |
Chatwork | 〇 | 月額550円~ |
LINE WORKS | 〇 | 月額330円~ |
※2021年9月現在
特徴
tocaro | 金融機関レベルのセキュリティ機能を備えている |
Wow Talk | 個人単位で機能のカスタマイズが可能 |
Oneteam | 会議時間を削減することで業務の時間を創出 |
direct | 日報や報告書、勤怠管理、翻訳などの作業をボットにお任せ |
ChatLuck | セキュリティ対策を必須とする組織から多数導入実績あり |
Kintone | アプリを活用することで共有事項を一度に管理 |
airy | あらゆる用途に合わせて全8種類のサービスを提供 |
gamba! | 新しい仕組み「SNS×日報」を採用 |
Slack | 世界中の企業から支持されているビジネスチャットツール |
Chatwork | 325,000社以上の企業に導入されており、国内利用者数No.1※ |
LINE WORKS | LINEのような使用感で250,000社以上※で導入実績あり |
まとめ
今回は、ビジネスチャットを導入するメリット・デメリット、ビジネスチャットの選び方、おすすめツールを紹介しました。
ビジネスチャットはテキストによるチャットだけでなく、音声・映像による通話機能やタスク管理機能など、ビジネスに役立つ機能が多数搭載されています。
さらに、ツールによってはアプリを追加することができるため、自分好みにカスタマイズをしてより使い勝手を良くすることも可能。
リモートワークが推奨される近年、ビジネスチャットはなくてはならない存在となりつつあるので、まだ利用したことのない人はぜひ導入を検討してみてくださいね。