webミーティングやオンライン飲み会など、近年では仕事からプライベートまで私たちの生活に「web会議システム」が浸透してきました。
訪問・対面が主流であった営業職に関しても、生産性向上やコスト削減の観点からオンライン営業が注目を集めています。
しかし、オンライン営業をはじめて導入する企業は、「オンラインによる営業で本当に契約を取れるの?」と不安を抱えてしまいますよね。
そこで今回は、オンライン営業のメリット・デメリット、おすすめのツール、オンライン営業を成功させるポイントと注意点について説明します。
オンライン営業とは
従来の直接企業へ足を運んで商談を行う訪問営業と異なり、オンライン営業とはインターネットを介して非対面で営業を行うことを指します。
主にweb会議システムを利用してオンライン営業を行うケースが多く、テレビ通話による映像・音声を通じて商談を行います。
インターネット環境があれば場所を問わず利用できるため、会社はもちろん自宅からでも営業を行うことが可能です。
さらに、パソコンはもちろんスマホやタブレットなど、さまざまな端末から営業できる点も大きな特徴と言えるでしょう。
オンライン営業のメリット6つ
交通費や移動時間などのコストを削減できる
オンライン営業を行う最大のメリットは、訪問する必要がないため交通費・移動時間などのコストをカットできる点です。
また、移動中も人件費はかかっているので、オンライン営業を導入することで間接的な人件費の削減と生産性の向上にも繋がります。
スケジュール調整や会議の手配が簡単
訪問営業を行う場合は営業先が遠方であるほど移動時間がかかり、会議を手配するためにスケジュールの調整が必要になります。
一方、オンライン営業であれば空いてる時間に会議の予定を組み込めるため、スケジュール調整を容易に行えるでしょう。
リモートなので営業先を全国に拡大できる
新規エリアへの営業拡大を検討する際、やはりネックとなるのは人員不足や交通費による追加コストではないでしょうか。
社内から営業を行えるオンライン営業であれば、追加コストを気にすることなく北海道から沖縄県まで全国に営業先を拡大できます。
営業先の負担を減らせる
飛び込み営業は営業マンにとっての登竜門的存在ですが、相手先に嫌な顔をされたり、門前払いをされたりといった経験もありますよね。
オンライン営業は事前にスケジューリングがしやすいため、アポイントメントを取りやすく相手先に負担を減らすことで話を聞いてくれる可能性が高まります。
録音機能により営業トークを分析しやすくなる
オンライン営業で利用されるweb会議システムには録音・録画機能が搭載されており、見返すことにより営業トークを分析しやすくなります。
また、AIが営業トークを分析してくれる便利ツールも開発されているので、先端技術を活用すれば成約へと繋がるでしょう。
大切な書類の紛失リスクがない
従来の訪問営業ではビジネスバッグに大量の書類を詰め込み、紛失しないよう書類管理を徹底する必要がありました。
しかし、オンライン営業は書類をすべてデータ化してファイルで共有できるため、大事な資料を紛失するリスクを抑えることが可能です。
オンライン営業の課題/デメリット5つ
オンライン営業に慣れていないと商談が進みにくい
働き方改革や新型コロナウイルスの影響により、近年増加傾向にあるオンライン営業ですが、いまだ導入できていない企業は少なくありません。
オンライン営業に慣れていないと操作に戸惑いやすいので、スムーズな取引を行うためには、自社はもちろん相手先の企業もオンライン営業に慣れている必要があります。
通信環境によって接続が不安定になりがち
オンライン営業はインターネットの通信環境に左右されるので、接続が不安定になると音声や映像が乱れてしまいがちです。
商談の途中で接続が切れるといった最悪の事態を回避するためにも、速度が安定しているインターネットの回線を導入してください。
非対面なので相手の信用を得るのが難しい
訪問営業は直接顔を合わせてコミュニケーションを行うため、熱量が伝わりやすく相手先との信頼関係を構築できます。
一方、画面を通して商談を行うオンライン営業の場合、非対面なのでどうしても信用を得にくいというデメリットがあります。
システムを導入する上でのコスト
ZoomやGoogle Meetなど無料から利用できるweb会議システムもありますが、参加人数に制限があったり、接続が不安定になったり、何かと制限が設けられてしまいます。
本格的にオンライン営業の導入を検討している企業は、自社に合わせたカスタマイズができるため、自社のネットワーク内部に専用サーバーを構築する「オンプレミス型」がおすすめです。
資料やサンプルを手に取って確認できない
訪問営業は資料や商品サンプルを持ち込んで営業できるので、実際に手に取って確認してもらうことができます。
一方、オンライン営業は画面上のやり取りしかできないため、サンプルを触って納得してもらったうえで契約を結ぶことが困難となります。
オンライン営業ツールを選ぶポイント
「オンライン営業をしてみたいけど、どんなツールを選べばいいか分からない。」という人のために、以下でオンライン営業ツールを選ぶ際のポイントを2つ紹介します。
インターネット初心者でも負担にならないか
はじめてオンライン営業を行う際はトラブルが発生しがちなので、インターネット初心者でも簡単に利用できる操作性に優れたツールを導入しましょう。
また、必ずしも相手先がオンライン営業に慣れているとは限らないため、相手先にとっての利便性も考慮する必要があります。
求人支援サービス「エンゲージ」が1,056社を対象に、オンライン商談に関するアンケート調査※を2020年9月~10月に行った結果、全体の43%がオンライン営業を導入していることが分かりました。(参照:エンジャパン)
つまり、営業におけるweb会議システムの利用が普及しているにもかかわらず、いまだに半数以上の企業はオンライン営業に慣れていないということになります。
アプリをダウンロードする手間はないか、複雑な機能がなく簡単に操作できるかなど、相手先にとって負担にならないか今一度確認しましょう。
使いやすい機能が備わっているか
近年では多くの企業からさまざまなweb会議システムが提供されていますが、オンライン営業に特化したツールには専用の機能が搭載されています。
以下、オンライン営業におすすめな便利機能を説明するので、web会議システムの導入を検討している企業は、使いやすい機能が備わっているかも検討材料にしてみてくださいね。
名刺機能 | 営業担当者のデジタル名刺を相手先へ送ることができる。訪問営業の名刺交換とは異なり、出身地や趣味も記載できるので初対面でも話が弾みやすい。 |
音声議事録 | AIがオンライン営業の会話内容を認識して、自動で文字起こしを行うため、議事録の作成に時間を割く必要がない。 |
デスクトップの共有 | デスクトップの画面を共有することができ、相手の許可が下りればリモート操作も可能。スライドショーによるプレゼンテーションに便利。 |
ステルスメモ機能 | 会議に参加している社内ユーザーと共有できるメモ機能。商談相手には見えないため、メモ上で相手に知られたくない指示や会話を行える。 |
スクリプト機能 | セールストークのスクリプトを自分の画面でのみ表示できる。営業に慣れていない新人でも、安心して冷静に営業をはじめられる。 |
オンライン営業を効率化!おすすめツール5選
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bellFace
「bellFace」は営業に特化したweb会議システムで、SMBC日興証券、JA共済、日本経済新聞など、発売から5年で3,000社以上の企業に導入されている実力派です。
たったの5秒で誰でも簡単に接続ができるので、相手先に負担をかけることなくオンライン営業を行うことができます。
また、公式サイトには導入事例が掲載されており、「商圏の拡大により受注数が3~4倍に増加した!」「ウェビナーから商談への誘引率が上がって成約率が3倍になった!」といった実績も公開されています。
初期費用 | 220,000円 |
月額料金 | 1IDにつき9,900円 |
※2021年9月現在
B-ROOM
双方のインストール不要で今すぐ利用できる「B-ROOM」は、ブラウザ上ですぐにはじめられるため、相手先に事前準備で負担をかけることがありません。
また、業界ではじめて2種類の接続方法を導入しており、相手のシーンに合わせてURLまたはワンタイムパスワードから接続方法を選べます。
最高レベルのビデオコーデックを採用しているので、クオリティの高い画質・音質により訪問営業と変わりない臨場感を味わえます。
1ルーム | 月額35,000円 |
3ルーム | 月額69,000円 |
20ルーム以上 | 月額400,000円 |
※2021年9月現在
Zoom
言わずと知れたweb会議システム「Zoom」は、無料で利用できる基本プランからビジネスに最適な有料プランまで、4種類のプランを提供しています。
さらに、Zoom Phone、Zoomウェビナー、Zoom Roomsなどのサービスも展開しており、ニーズに適したプランを選択することが可能。
21st Century FOXやAB in Bevなど世界中の企業に愛されているからこそ、使い勝手の良さと操作性はピカイチです!
基本 | 無料 |
プロ | 月額2,000円 |
ビジネス | 月額2,700円 |
企業 | 月額2,700円 |
※2021年9月現在
Calling
国産web会議システム「Calling」は、「ITトレンド」の年間ランキング2020にてweb会議システム部門で堂々の1位を獲得した人気ツールです。
通話制限がないのでオンライン営業に適しており、1対1の商談から30人程度の中規模ミーティングまで幅広く活躍してくれます。
ルームを作成してURLを共有するだけの簡単ステップなので、オンライン営業に慣れていない人でも安心して利用できるでしょう。
初期費用 | 220,000円 |
月額費用 | 1IDにつき1,650円 |
※2021年9月現在
VCRM
オンライン商談・相談ツール「VCRM」は、1ルームあたり月額5,500円(税込)で無制限にユーザー登録できます。
発行番号とURLの2通りの接続方法があるので、連絡先が分からない新規顧客には発行番号、既存顧客にはよりスムーズなURLと使い分けできます。
また、資料の事前セットアップが可能なため、よく使う資料をあらかじめ登録しておくことにより、最適なタイミングで相手の画面に資料を表示させることが可能です。
初期費用 | 107,800円 |
月額料金 | 5,500円~ |
※2021年9月現在
オンライン営業を成功させるポイント
営業前に必ず環境を確認
インターネット上で商談を行うオンライン営業の場合、訪問営業とは異なる予期せぬハプニングに見舞われる可能性があります。
万が一ハプニングが発生した際、営業がはじまってからトラブルに対処すると、「本当に大丈夫かな…?」と相手先に不信感を与えてしまうでしょう。
営業を始める前に音声・映像の確認、資料の準備、商談の段取りなど、トラブルの原因となり得る項目を必ず確認しておくことをおすすめします。
スケジュールの確認を行う
時間調整や移動、会議室の手配など手間がかからないため、オンライン営業は気軽に面談してもらいやすいと言われています。
アポイントメントを取りやすい一方、オンライン営業は訪問営業よりも断りやすいため、急にお断りのメールが届くということもあり得ます。
商談をドタキャンされないためにも、スケジュールの確認はこまめに行って、営業の日時をリマインドしてあげましょう。
アンケートツールで事前にヒアリング
web会議システムにはオンライン営業に便利なツールがいくつか存在しており、なかでもぜひ活用してほしいツールがアンケート機能。
訪問営業の場合は、商談をはじめる前に必ずヒアリングを行う必要があり、どうしても商談にかける時間が減ってしまいます。
オンライン営業であれば、アンケート機能で事前におおまかなヒアリングを行えるため、スムーズに商談・提案を行うことができます。
要点をまとめて商談の時間は短めに
Microsoftが従業員を対象に2020年に行った調査によると、長時間に及ぶオンライン会議ほどマルチタスクをする人が増加する傾向にあることが分かりました。
20分以下のオンライン会議に比べて、80分以上の会議ではマルチタスクをする人がなんと6倍になり、多くの人が会議への集中力が途切れていることが分かります。
オンライン営業を行う場合は、相手の集中力を切らさないためにも、要点をまとめてできるだけ短時間で終えるよう心がけてください。
ビデオ画面とデスクトップ共有を上手にスイッチ
ほとんどのweb会議システムには画面共有機能が搭載されており、ビデオ画面とデスクトップ画面を切り替えることが可能です。
スライドショーなどを積極的に取り入れたり、画面を上手にスイッチすることでメリハリをつけたり、見応えのある商談で相手を引き込みましょう。
また、許可が下りれば相手の画面をリモート操作できるため、ぜひ画面共有・遠隔操作機能を使いこなしてくださいね。
相手に疑問点がないか随時確認する
オンライン営業の場合は訪問営業とは異なり、営業マンが一方的に話すスタイルになるため、商談が一方通行になりがちです。
相手側の集中力が途切れる原因にもなるので、「ここまでで疑問点はございませんか?」と随時確認を行い、相手も参加できる会話方式を心がけましょう。
また、あえてYES or NOやA or Bで応えられるクローズドクエスチョンは、相手が応えやすいためオンライン営業では有効です。
一方的に営業マンが話すのではなく、ヒアリングも心がける
上記で述べた「相手に疑問点がないか随時確認する」と通じますが、やはり相互のコミュニケーションを図ることは、オンライン営業においてとても重要です。
訪問営業とは異なり、オンライン営業では温度感に差が生じてしまいがちで、一方的に話し続ける商談では相手が飽きてしまう可能性もあります。
相手のニーズを引き出せるよう雑談を交えたり、事前にアンケート機能を活用したヒアリングを行ったり、相手を退屈に感じさせない工夫が大切になるでしょう。
オンライン営業で注意したいポイント
オンライン営業で相手先にストレスを与えないために、映像や音声の調整、リアクションの取り方など注意したいポイントを確認しておきましょう。
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オンライン営業を行うにあたって、まずは照明が暗すぎないか、逆光になっていないか、自分の顔がしっかりと映っているかを確認してください。
直接対面で行う訪問営業に比べると、オンライン営業は細かな表情を読み取るのが困難なため、空気感や相手の反応が捉えにくいというデメリットがあります。
ボディランゲージをして大きめにリアクションをとったり、にこやかな表情で明るい雰囲気を心がけたり、相手が話しやすい空気を作ってあげましょう。
また、デスクトップばかり見ていると映像の目線が合わないため、カメラの位置を調整して直接話しているような空間を演出してください。
オンライン営業では直接話すよりも音声が聞き取りにくいので、ゆっくりと大きな声でハキハキと話すことも重要なポイントです。
まとめ
今回は、オンライン営業のメリットとデメリット、おすすめのweb会議システム、オンライン営業を成功させるポイントや注意点について説明しました。
「営業は足で稼ぐ!」と言われていた世代にとっては、web会議システムを利用して社内からオンライン営業を行うなんて信じがたいですよね。
直接顔を合わせて営業をしないため信頼を得にくいと言われており、オンライン営業に抵抗を感じている人も多いのではないでしょうか。
ところが、web会議システムならではの便利機能、全国への営業先拡大、交通費や移動時間などのコスト削減といった数多くのメリットもあります!
コストの削減や生産性の向上を図っている企業は、ぜひオンライン営業の導入を検討してみてくださいね。