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「社会に貢献できるWebサービスを!」これからの企業・フリーランスが意識するべきサステナブルな考え方<後編>

これからの企業・フリーランスが意識するべきサステナブルな考え方<後編>

前回に引き続き、スキルバでの委託業務と並行して、社会性インパクト評価やサスティナビリティ領域といった『自分のやりたいこと』を形にした「株式会社Creative Capitalism Japan(クリエイティブ キャピタリズム ジャパン)」を経営する「原 理花子さん」にお話を伺いました。

これまでのキャリアや独立背景、事業へのビジョンなど業務に関することはもちろん、人生観に影響を与えたコンテンツなどプライベートな質問にもお答えいただきました。

これから独立を考えている方が知っておきたい考え方や、ペーパーワークの取り組み方についてもアドバイスをいただきましたので、ぜひ参考にしてください。

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両軸でキャッシュフロー構築とビジョンに関する仕事のバランスを取るTIPS

スキルバ:独立当初はキャッシュを稼ぐことに集中してしまい、なかなかやりたいことを進められないといった課題を感じる方も多いですが、それらを両立させるために意識しているポイントはありますか?

原氏:クライアントとの信頼関係の構築ですね。独立当初は信頼関係を築ける取引先を増やして、会社が安定する基盤を整えることが重要だと考えます。

それができて初めて自分のやりたいことにかけられる時間が明確になるため、まずは土台の確立に注力した方が良いのではないかと思います。

スキルバ:例え話になってしまうのですがもし、スキルバの業務委託を受注していなかったら、自社サービスを開発するためにどのような選択をとっていたと思いますか?

原氏:その場合は、資金調達を検討すると思います。私の事業だと補助金も利用できるため、活用する方向で検討します。ただ実際、補助金を申請しているのですが、手続きに時間がかかるのが難点ですね。

それでもエクイティの放出はできるだけしたくないので、なんとか他の方法で資金を捻出する方向で進めていければと考えています。

『本当に社会のためになるサービスを未来に残したい』

スキルバ:エクイティを放出したくない理由として、どういったことが挙げられるのでしょうか?

原氏:エクイティの放出によって資金を調達するには、どうしてもEXITの計画を立てなければならないからです。現在、開発を進めている自社サービスはわたしのライフワークとして人生を懸けてやってみたいことなんです。

EXITとなると、どうしてもステークホルダーの方々の意見を十分に考慮したうえで事業方針を決めなければなりません。

もちろん、やりたいことを進める中で大量の資金が必要な場合にはEXIT戦略も検討しますが、現段階では必要な資金も融資で賄える範囲に収まっているため、どうしても必要な状況にならない限り、エクイティの放出は避けるべきだと考えています。

スキルバ:「社会のためになるより良いものを本気で残したい」という一心で活動されているのですね。

原氏:そうですね。ただ実際、サービスをリリースしてみないと分からない部分も多いと思うので、状況に応じて臨機応変に対応できればと思います。

EXITを前提にしないアプローチのデメリットとは

スキルバ:これまでのお話の中で創業からもっとも苦労した点としては、資金面になるのでしょうか?

原氏:EXITを前提としないアプローチの中で苦労している点としては、資金面に加えて人集めの難しさも挙げられます。

弊社では、スタートアップの大きなメリットとして挙げられるストックオプションなど将来的な特典を提示できないため、本心から事業に共感してくれる方でないと一緒にやってくのは難しいのではないかと考えます。

スキルバ:例えば、資金調達を検討するタイミングなど企業としてのステップが訪れた際に、周りの方に相談して解決するのでしょうか?

原氏:今まではそこまで相談はしてこなかったのですが、資金調達に関しては日頃、周りの経営者からの苦労話を聞いていたので、デメリットに関してある程度把握していました。

ただ有難いことに「もし資金調達したかったら相談してね」と言ってくださる方々もいらっしゃるので、今後もし必要となった場合は、ご相談する予定です。

創業者として資金繰りに日々奮闘

スキルバ:現在、原さんと一緒に活動しているメンバーは何人くらいなのでしょうか?

原氏:現在は合計6人体制で活動しています。

スキルバ:原さんを含め6名のメンバーで活動している中で、少なくとも5名分の報酬をお支払いしなければならないと思うのですが、そのあたりの資金繰りについてお聞きしてもよろしいでしょうか?

原氏:現在はスキルバや他企業の業務委託の報酬がメインの原資で、一部補助金と融資も利用しながら賄っています。

スキルバ:弊社サービスから発生した報酬もメンバーへの支払いにあてているのですね。

サステナビリティ領域に適した人材を見つける方法

スキルバ:苦労する点として「人集め」を挙げられていましたが、前職の元同僚などを誘ってチームで動いたりすることもあるのでしょうか?

原氏:先ほどご紹介したひとつめのサービス開発を元同僚に近い方にお願いしたのですが、うまくいかなかったため、サスティナビリティ領域に関して、私と同じような志を持っている人に依頼したいと考えています。

スキルバ:物理的な近さよりも、インタレストベースで該当する方にお願いしたいということですね。そういったサスティナビリティ領域に興味のある方を探す場合、どういった方法を取るものなのでしょうか?

原氏:私の場合は、企業のサステナブルに興味のある方々が所属しているコミュニティやSNSを活用しています。現在もそれらで出会った方と一緒に活動しています。

自分が苦手な業務は信頼できるメンバーや専門家に任せる

スキルバ:業務の中で、自分で行う作業と他のメンバーに任せる作業の区別はどのように判断しているのでしょうか?

原氏:基本的に自分じゃなくてもいい業務は、メンバーにお願いするようにしています。

業務の中でおもに私が担当しているのは、クライアントとのコミュニケーションや提出物のチェックなどですね。もちろん、会社の運営に関わる資金面の確認や判断も私の担当領域です。

逆に作業系はメンバーにお任せすることが多いですね。とくに私が苦手な分野は積極的にお願いするスタンスでいます。

スキルバ:それはいいバランスですね。全部背負い込まないことも重要ですからね。

原氏:本当にそう思います。スタートアップ期間は自分で全部の業務をやっていて、本当に大変でした。ペーパーワークのお話にもつながりますが、そのような経験からも専門家にお任せできる分野は、絶対に頼むべきだと思いますね。

ペーパーワークは創業時から専門家にお任せするのがおすすめ

スキルバ:ペーパーワークについての失敗談やスタートアップの方が注意すべきポイントなどがあれば教えてください。

原氏:創業から1、2年目は会社として正式に活動していなかったため、ペーパーワークは自分で会計ソフトを使ったり、Web上の決算ツールを使っていたりしていました。

その後2年目から税理士さんにお願いしたのですが、1年目に自分で作った書類が間違っていて、修正申告などの対応に追われてしまったという経験があります。

なので、はじめから税理士さんにお願いした方がいいというのが私の結論です。

スタートアップであれば、領収書の数もそこまで多くないですし、低価格で対応してくれる税理士さんもいるため、慣れない会計業務に苦労して時間を割くぐらいなら、潔く専門家にお願いした方が効率的かと思います。

スキルバ:現在は月額1〜3万円程度、年度末決算のみ別額で対応してくれる税理士さんも多いですよね。ちなみに担当してくれる税理士さんはどうやって探しましたか?

原氏:ネットですね。現在は顧問の税理士にお願いしているのですが、月額2〜3万円程度でいつでも相談に乗ってくれて月次決算も任せられるため、お願いしてよかったと実感しています。

ベーリング海の蟹工船から学んだ『辛い瞬間を乗り越えるマインド』

スキルバ:日々辛いこともあるかと思いますが「これがあるからやっていける!」と感じる息抜きの方法を教えてください。

原氏:ゲームは好きですね。他にはドラマとかも見ています。あとは、年末年始に「ベーリング海の一攫千金」というドキュメンタリーにハマってしまって(笑)

1シーズン1年単位で全シーズン17まであって、日本では5つくらいしか視聴できないのですが、YouTubeで一気に見ちゃいましたね。

見てみれば分かりますが、ベーリング海の蟹漁ってとんでもない過酷さなんですね。乗組員もキャプテンも12mの高波とかが押し寄せくる中で蟹を獲るんです。

実際に亡くなってしまう方も少なくなく、メーデーが入って同時期に出港したタラ漁の船や撮影の入っていない仲間の船が沈没してしまったりもするんです。

スキルバ:想像以上の過酷さでした。でも動画のタイトルにある通り、それだけ危険が伴う仕事であれば報酬も規格外なのでは?

原氏:それがそうでもないんです。キャプテンやオーナーの方にとっては一攫千金かもしれないのですが、乗組員の方は3ヶ月で1,000万円くらいの報酬で命の危険がある中、蟹を獲っているみたいなんです。

それ見てたら、自分の仕事でどんな辛いことがあっても死ぬわけではないなって思えて。

スキルバ:急にストイックですね(笑)たしかにそれだけ過酷な蟹漁に比べたらどんな仕事でも楽に感じますよね。私も辛い出来事があったら見てみます。

原氏:本当におすすめです!

没入感が凄くてドキュメンタリーならではのハラハラドキドキですし、2022年はベーリング海の蟹が激減し、初めてベーリング海での蟹漁を禁止されたのですが、そういった事業がアンサステナブルになっているということを自分事のように感じる機会にもなりますので、ぜひ見てみてください(笑)

『大義名分を背負って生きる』『未来へ繋げる』が今のメインテーマ

スキルバ:映画でも漫画でもゲームでもなんでも構わないので、原さんの人生観に大きな影響を与えたコンテンツを教えてください。

原氏:ビジネス面でいうなら「海賊と呼ばれた男」は良かったですね。

戦後のお話なので、サスティナビリティとは関係ないのですが、日本のためにという大義名分を背負って創業者だけでなく従業員も一丸となって戦う生き様に胸が熱くなりました。

同じく大義名分を背負った生き様という点では「燃えよ剣」とかも好きですね。

あと、コミックや映画は最終的に同じような結論に到達する傾向があると考えていて、たとえば「鬼滅の刃」だと「未来に繋げる」がテーマですよね。

「燃えよ剣」にもつながりますが、未来に繋げるといったテーマから生み出された作品は全般的に好きです。

他には「インターステラー」の劇中に登場した「愛は5次元の成分」という設定にすごく納得したのを覚えています。

現実でも愛がなければ子供の発育に多大な悪影響を及ぼすといった不思議な現象が起きている中、それを5次元と表現したのは非常に興味深かったですね。

そういった愛を含む他人に優しくする意味だったり、生きる意味だったりとかはたびたび漫画や映画から学ばせてもらっていますね。

スキルバ:まさしく大義名分を背負って現在の事業を展開している原さんには、こんなルーツがあったんですね。

原氏:そうですね。でも意外と大義名分を背負わず、家族を作って子育てするといった一般的な幸せの形を思い描く時もあるんです。

おそらく、私は自分の中にあるフェーズごとに一番やりたいことをやっているだけなので、来年は全く違う目標に向けて進んでいるかもしれませんね。

原さんが思い描く10年後の世の中のカタチ

スキルバ:原さんは10年後、世の中はどのように変化していると考えますか?

原氏:現在でも、多くの企業においてサスティナビリティ領域への対応を迫られていますが、10年後はそのような傾向がより進むと考えています。

その背景には、人間の活動によってすべての資源がリミットへと近づいていることが本質的な問題として挙げられます。

また資源や環境問題だけでなく、人権問題や人的資本と呼ばれる企業の従業員への対応もより深刻な問題として取り組む必要があります。

すでに欧州では法律化が進んでいますが、それらのサスティナビリティ領域への対応を真摯に行っている企業が評価され、対応が遅れている企業は淘汰される、そんな世の中へとシフトしていくと私は考えています。

スキルバ:たしかにそのような風潮が進み、社会全体の見る目が養われれば、誠実な対応を行う企業しか生き残れないより良い社会が実現できますよね。

原氏:おっしゃる通りです。少なからず倫理を失った資本主義を体現する企業も存在する中、10年後にはそのような企業が少しでも減っていればいいと考えています。

結局、個人のスキルがセーフティーネットになる

スキルバ:最後にこれから独立を目指す方々に向けて、重視するべきポイントを教えていただけますでしょうか?

原氏:結論、個人スキルがセーフティーネットになると考えています。やりたいことに挑戦する場合でも、業務委託を受注できるようなスキルが備わっていれば、失敗してしまっても生活はできます。

スキルがあれば転職にも活用できるので、失敗を恐れず大胆にアプローチするためにも、個人スキルを磨くことをおすすめします。

スキルバ:保険がある状態でやりたいことに向き合うべきということですね。失敗しても大丈夫と思える個人スキルさえ確保できれば、ある程度勢いで独立に踏み切ってもよさそうですね。

原氏:個人的には全然問題ないと思います。創業している間の経験も将来的にひとつの強みになると思いますので、個人スキルがある方は積極的にチャレンジするべきだと私は考えます。

スキルバ:モチベーション的な観点で重視するべきポイントはありますか?

原氏:ライフワークを意識することですかね。

世の中には「稼げないとダメ」という風潮も少なからずありますが、どうせ同じ自分の人生の貴重な時間を使うのなら、人生を通してどうなりたいか、何が大切かを考え、それを考えた上で逆算をした行動をすると良いと思います。

もちろん、収入を増やすことも大事なモチベーションのひとつですが、もうひとつそれ以外のモチベーションを見出す必要があると思います。

そういった意味で「スキルバ」というコミュニティは学びを重視している方が集まっているため、モチベーションを高く保つのにも役立っています。

スキルバ:今後も学びたい人がお互い高め合っていけるコミュニティを目指していきます。原さん、本日は貴重なお話をありがとうございました。大変勉強になりました。

原氏:こちらこそありがとうございました。

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この記事を書いた人
スキルバアカデミー編集部