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新規事業コンサルティングの仕事内容とは?コンサルタントで独立して成功するためのtips【インタビュー付き】

新規事業コンサルティングの仕事内容

一口でコンサルティングといっても、担当する業務や領域によって、さまざまな種類に分かれます。なかでも、クライアント企業における新規事業の創出を支援するのが「新規事業コンサルタント」です。

本記事では、新規事業コンサルティングの概要や仕事内容、新規事業コンサルタントになるために必要なスキルや、気になる年収についても詳しくご紹介。

また、記事の後半では、大手コンサルティングファーム「デロイト トーマツ コンサルティング合同会社」でも上位1%の人材しか到達できない、「S評価人材」に選ばれたご経歴を持つプロフェッショナル「権藤 悠(ごんどうゆたか)」さんのインタビュー内容をご紹介します。

目次

新規事業コンサルティングとは

新規事業コンサルティングは、クライアント企業における新規事業の創出を総合的にサポートする仕事です。

多種多様なサービスが提供されている昨今のビジネスシーンでは、先行者利益を獲得するため、多くの企業が新規事業の創出を検討しています。

企業が新規事業を創出する際には、多大なリソースやコストが必要です。とくに、創業期の企業の場合、新規事業をスタートするためのノウハウや人材が不足しているケースは珍しくありません。

たとえ事業アイデアを思いついたとしても、収益化までのプロセスが適切でないと軌道に乗せるのは難しくなります。

このような新規事業の創出に関する企業の課題を解決し、プロジェクト推進を支援するのがおもな役割です。

新規事業コンサルティングの仕事内容

新規事業コンサルティングの仕事内容は、大きく以下の4点にわけられます。

  1. 新規事業のコンセプト決定
  2. 事業計画・戦略の策定
  3. 新規事業の仮説検証
  4. 事業の立ち上げ・成長支援

それぞれの仕事内容を解説します。

1.新規事業のコンセプト決定

最初の仕事は、事業のコンセプト・テーマの決定です。クライアント企業の要望や計画をヒアリングし、コンサルタントとしての知見を交えて、新規事業の方向性を定めます。

また、新規事業のコンセプト決定には、市場や競合に関する情報収集も欠かせません。

ただクライアントの要望を聞くだけでなく、総合的な観点から論理的に新規事業の大枠を決める必要があります。

2.事業計画・戦略の策定

新規事業の方向性が決まったら、具体的な計画・戦略策定のフェーズに移行します。

ローンチに向けてスケジュールを細かく設定・調整したり、発生するコストや利益率を綿密にシュミレーションするなど、細かい事業計画を練り上げていきます。

さらに類似事例の調査や、市場の変化を想定し、考えられるリスクを分析するなど、徹底的なリサーチを基にローンチ後の戦略も策定しなければなりません。

事業が軌道に乗り、収益化できるまでの具体的なロードマップを描き、本格的なスタートに向けて万全の体勢を整えていきます。

3.新規事業の仮説検証

立案した事業計画が本当にうまくいくのか検証するのも重要な仕事です。

具体的には試作品を作ってレビューをもらったり、ユーザーに対してデモンストレーションを実施し、ビジネスとして通用するのかを検証します。

検証の結果を事業計画に反映させながら、少しずつ成功確率を高めていきます。

4.事業の立ち上げ・成長支援

事業計画が固まったら、いよいよ新規事業を本格的に始動します。新規事業を始めるにあたって、必要な設備や人材などの調整もコンサルタントの仕事です。

いくら綿密な計画を立てても、思ったように事業が進まないケースは多々あります。その都度、改善を繰り返しながら事業の成功に向けて、軌道修正していくのも重要な役割です。

たとえば、ITに強いコンサルタントの場合、改善施策となるシステムやツールの開発・導入の支援に携わるケースもあります。

また、コンサルタントが介入しなくても新規事業を推進できるように、専門人材を育成したり、社内の体制を整備したりなど幅広い業務に携わります。

新規事業コンサルティングを行っているコンサルティングファーム

新規事業コンサルティングを行っているコンサルティングファームとして、以下のような企業が挙げられます。

  • ボストンコンサルティンググループ
  • マッキンゼー アンド カンパニー
  • ベイン アンド カンパニー
  • デロイト トーマツ コンサルティング合同会社
  • Strategy&/PwCコンサルティング ストラテジーコンサルティング
  • 株式会社ドリームインキュベータ
  • アビームコンサルティング株式会社 など

新規事業コンサルティング関連サービスは、おもに経営課題の抽出から事業戦略の策定に携わる「戦略系コンサルティングファーム」が得意としている傾向があります。

ただし、戦略策定から実行支援まで幅広く携わる「総合系コンサルティングファーム」やIT領域をメインサービスとしている「IT系コンサルティングファーム」にも新規事業コンサルタントは在籍しています。

クライアントの業界や規模に関わらず、新規事業の創出は多くの企業において深刻な課題です。顧客からのニーズも高いため、多くのコンサルティングファームが注力している領域といえます。

新規事業コンサルタントになるには

新規事業コンサルタントを目指す代表的な方法として、以下の3点が挙げられます。

  • コンサルティングファームに就職・転職する
  • 新規事業コンサルタントとして独
  • 立する
  • 副業として新規事業コンサルティングを行う

それぞれの方法について解説します。

コンサルティングファームに就職・転職する

新規事業コンサルタントになるための方法として、比較的容易なのがコンサルティングファームへの就職・転職です。

新卒の就職先としてコンサルティングファームは、非常に人気があります。新卒の場合、基本的にポテンシャルが重視される傾向があるため、既卒や中途採用に比べて入社しやすいのが特徴です。

また、コンサルティングファームの中には、ビジネスに精通している人材の中途採用に力を入れている企業も多く存在します。

中途採用の場合、新規事業の立ち上げを経験している人材は当然、高評価を得やすいですが、絶対数が少ないため、それ以外のビジネス経験や将来性を評価するケースも多いようです。

将来的に新規事業コンサルタントとして独立するためのステップとしても、コンサルティングファームで経験を積むのは、現実的な方法といえるでしょう。

新規事業コンサルタントとして独立する

すでにスキルや経験があるなら、新規事業コンサルタントとして独立する選択肢もあります。コンサルティングファームへの在籍経験があり、一通りの業務をこなせるスキル・ノウハウがあるのであれば、独立後も活躍できる見込みは高いといえます。

現在、別領域のコンサルティングにメインで携わっていたとしても、業務フローがわかっていれば、新規事業の創出を支援できる可能性は十分あります。

ただし、新規事業コンサルタントに限らず、独立後の課題となるのが、案件の獲得方法です。とくに、個人の場合は、営業活動も行わなければならないため、案件を獲得できる目処を立ててから独立に踏み切るのが賢明です。

なお、現在は案件紹介サービスやマッチングプラットフォームも充実しているため、営業力に自信がない方は活用してみるのもおすすめです。


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副業として新規事業コンサルティングを行う

新規事業コンサルタントを目指す1つの方法として、働きながら副業で活動する選択肢もあります。

副業の場合は、一気通貫で新規事業の創出をサポートするというより、一定の範囲の業務をスポットで担当するケースです。

クライアントのなかには、コスト的にコンサルタントにフルコミットしてもらう余裕がなかったり、新規事業の発案や戦略策定は自社でやりたかったりといった要望を持っている企業も存在します。

担当業務をこなせるスキルやノウハウは必要になりますが、副業コンサルタントの需要があるのは確かです。

在籍している企業が副業を認めていることが前提になりますが、「いきなり独立するのは不安が大きい」という方は、まずは副業として案件をこなしてみるのも堅実な方法です。

新規事業コンサルタントに必要なスキル

新規事業コンサルタントとして活躍するには、おもに以下のようなスキル・能力が重視されます。

  • 情報収集能力
  • 論理的思考力
  • コミュニケーション能力

それぞれのスキル・能力の重要性を解説しますので、自身の適性を測るためにご確認ください。

情報収集能力

新規事業コンサルタントには、広く深い情報収集能力が求められます。具体的には、以下のような情報を高い精度で収集しなければなりません。

  • 市場規模や成長性
  • クライアント企業の強みと弱み
  • 競合となる企業の数、強み
  • マーケット全体のトレンド など

入手した情報は、新規事業の方向性を決める指標になります。したがって、どれだけ情報収集のノウハウを持っているかで、新規事業コンサルタントとしての評価が分かれるといっても過言ではないでしょう。

論理的思考力

新規事業コンサルタントには、論理的な思考力が求められるシーンも多々あります。

たとえば、コンセプトを決めるフェーズでは、リサーチした情報やクライアント企業の経営状況を分析しながら、客観的に成功する確率の高い仮説を打ち立てる必要があります。

また、具体的な事業計画を策定するフェーズにおいても、理論的に収益化までの道筋を考えなければ、失敗につながる可能性が高くなります。

そもそも、思いつきや根拠の乏しい事業計画を提案しても、クライアント企業の経営陣を納得させるのは困難です。

新規事業の領域以外でも、コンサルタントとして活躍するためには、理論的に解決策を導き出す思考力が必要です。

コミュニケーション能力

新規事業コンサルタントには、プロジェクトを円滑に進めていくためのコミュニケーション能力が必要不可欠です。企業の経営陣と接する機会も多いため、自分の意見を相手目線で分かりやすく伝えられるプレゼン能力が求められます。

また、プロジェクトを滞りなく推進するには、共に業務に携わるチームメンバーとのコミュニケーションも重要です。ミーティングやプレゼンをスムーズに進めるためのファシリテーション能力も重視される傾向があります。

新規事業コンサルタントの年収

新規事業コンサルタントの年収は、およそ500〜2,000万円程度が相場です。

ただし、担当する分野・領域に限らず、コンサルタントの収入は経験やスキル次第で非常に幅広いのが特徴です。

顧客と直接関わるパートナークラスのコンサルタントであれば、2,000万円近くの収入が期待できますが、情報収集や資料作成がおもな業務となるアナリストクラスの場合、年収500〜750万円程度が相場となります。

また、新規事業コンサルタントに限った話ではありませんが、コンサルティング案件は独立した場合の報酬単価も高い傾向があります。

本人のスキルや経験、担当する領域によって異なりますが、一般的にコンサルティングファーム在籍時よりも1.2〜1.5倍ほど収入が上がるといわれています。

個人でも収益を上げられるスキルがあり、現状の年収を物足りないと感じるなら、独立や副業を視野に入れるのもおすすめです。

【インタビュー】実際に新規事業コンサルタントとして活躍している方にお聞きしました

新規事業コンサルタントの実態をさらに詳しく知りたい方のために、実際に新規事業コンサルタントとして活躍している「権藤 悠(ごんどう ゆたか)」さんにお話を伺いました。

BIG4と称される大手総合系コンサルティングファーム「デロイト トーマツ コンサルティング合同会社」でS評価を得た経験をお持ちの権藤さんだから語れるコンサルティングファームの構造や、新規事業コンサルタントとして成功するために必要なポイントなど、ここでしか聞けない貴重なお話をまとめました。

また、権藤さんの豊富な経験に基づく「コンサルタントとして独立・起業を目指すためのアドバイス」もお伝えします。

新規事業コンサルタント志望の方はもちろん、コンサルタントとして独立を考えている方、副業としてチャレンジしてみたい方は、ぜひご一読ください。

権藤さんのプロフィール・ご経歴

株式会社キーメッセージ 代表取締役

プロフィール:権藤 悠 / ごんどうゆたか

経営企画高度化/バックオフィスDXの実現を支援するプロフェッショナルファーム、株式会社キーメッセージ代表取締役社長。

大手企業から上場前後のベンチャー企業、中小企業まで、経営企画・人事企画と伴走し、支援。

過去にはシステムパフォーマンス分析ベンチャーにて人事広報として参画。後にミャンマーでの位置情報を活用したビッグデータ分析新規事業や、検索エンジンOEMサービスの立ち上げなどに従事。

各業界の大手法人へDX人事戦略の構築支援から、実現に向けたバックオフィスシステム/デジタルツールの選定、導入から保守点検まで一気通貫的な支援に携わり、企業のDX実装を支援。

スキルバ:まずは自己紹介と権藤さんのご経歴をお伝えいただけますか?

権藤氏:株式会社「キーメッセージ」の代表取締役、権藤と申します。現在は、おもに大手企業から上場前後のベンチャー企業、中小企業まで、経営企画・人事企画様と伴奏し、バックオフィスのDX支援に携わるプロフェッショナルファームを経営しております。

過去の経歴としては「鬼速PDCA」という書籍を出版している「株式会社ZUU」で上場前後の組織づくりの開発に携わっておりました。

その後、デロイト トーマツ コンサルティング合同会社(以下、デロイト)にて、テクノロジーやデジタルを活用した組織改革「HRDX」をテーマにしたコンサルティング業務を経験し、コンサルタントとして独立、それから1年半くらい経過したのが現在となります。

スキルバ:デロイトさんといえば、会計ファームとして知られていたり、事業戦略やM&Aなど幅広く対応しているイメージなのですが、おもに戦略側を担当していらっしゃったのでしょうか?

権藤氏:戦略を含めて行うことももちろんありましたが、実際には、業務において欠かせない施策企画やシステムの導入、実行、定着、運用を主に担当していました。

具体的な事例としては、社員1人ひとりを育成するための施策企画として「1on1」の提案や、戦略に沿ったシステムの導入など、さまざまな施策を企画・実行していました。

他にも、組織における人事機能の高度化を目指すうえで、社内の体制構築や戦略策定を支援する業務にも携わっていました。

バックオフィス・業務効率DXをテーマに選んだ経緯

スキルバ:多種多様なコンサルティングのメニューがある中で、バックオフィスや業務効率DX、組織人事に携わることになったきっかけはなんだったのでしょうか?

権藤氏:その辺りは、私のバックグランドが大きく関係しています。

私は小学生の頃からずっと野球をやっていたのですが、キャプテンとしてチームをまとめる立場でした。その経験は組織人事に関心を持つきっかけの1つになったと思います。

その後、ベンチャー企業やデロイトで人事のキャリアを積んだことで、私のコンサルタントとしての軸が形成されていったように感じます。

バックオフィス・DXに関しては、中学生時代にプログラミングやウェブ制作をやっていたことがきっかけです。その後、慶應大学の情報工学科に進学したこともあり、ITやテクノロジーに関する興味や知見が深まっていきました。

ただ、大学時代に進路を考えた際、テクノロジーを作るより活用するほうが私には向いていると考え、組織人事に活きるテクノロジー活用という現在のテーマが完成した形です。

【元デロイトS評価人材が語る】コンサルティングファームの構造・特徴

スキルバ:現在、数多くのコンサルティングファームが存在している中で、それぞれ提供しているサービスや特色が違うと感じているのですが、デロイトの特徴や強みはどの部分になるのでしょうか?

権藤氏:あくまでも参考情報になりますが、デロイトの強みは対応できる領域・業務の幅広さだと考えます。

デロイトでは、まず「ストラテジーチーム」が戦略策定を担当し、方針が決まり次第、既存事業の成長や組織人事に精通した人材が施策を企画・実行します。

その後、開発PMOやシステム選定に強いIT系コンサルタントにバトンタッチする体制になっているため、自社のみで一気通貫的にハイレベルなサービスを提供できるわけです。

スキルバ:高次元の総合力がデロイトの強みなのですね。私の中では、事業戦略の策定に関しては、戦略系コンサルティングファームが強いというイメージです。

権藤氏:たしかに戦略系コンサルティングファームは、最上流工程に特化したプロフェッショナル集団ですが、昨今におけるクライアント企業のニーズとは若干、乖離している部分もあります。

実際、戦略の部分だけをコンサルタントに任せても、なかなかうまくいかないと感じている企業も少なくないようです。また、戦略面に課題を感じている企業の中には、戦略策定に強いコンサルタントを自社に招き、内政化するケースも非常に増えています。

そのような企業がクライアントになる場合、施策の実行やテクノロジー活用といったフェーズから支援する形になるため、戦略系コンサルティングファームでも実行支援への対応を課題視している風潮があるようです。

スキルバ:現在、業界内では上流から下流まで一貫して任せられるコンサルティングファームがトレンドになっているわけですね。

開発PMOとしてクライアント企業のコンサルティングに携わり、そのうえでリソースも提供するといったモデルがかなり増えているように感じていますが、いかがでしょうか?

権藤氏:仰るとおり、そのモデルは現在、業界内でトレンド化しています。開発PMOとして独立して、コンサルティングファームを立ち上げる企業さんもかなり増加しています。

コンサルタントの意味合いが変化してきている

スキルバ:主に既存事業進化やバックオフィス、業務効率化DXといったパートに携わっていらっしゃる権藤さんですが、非常にプロフェッショナル性の高い分野という印象です。

それゆえに利益率が高い反面、人材採用は難しいイメージなのですが、どのようにお考えですか?

権藤氏:仰る通りですね。本当になかなか型化がしづらい領域だと思います。

戦略の策定に関しても、クライアント企業の強みや風土、想定しているビジネスモデルはさまざまですので、その辺りの変数をしっかり踏まえたうえで、toBとして最適な施策方針をご提案しなければなりません。

また、以前までは「コンサルタント=先生」の意味合いが非常に強かったのですが、現在はコンサルタントと一緒に全体的な施策を推進していく、パートナー的な役割が求められているように感じます。

それゆえに、柔軟に対応できるコンサルタントの需要が高まっていますが、なかなか適切な人材が見つからない部分はありますね。

『戦略実行を支えるための組織構築』がフォーカスポイント

スキルバ:独立するコンサルタントが増加している中で、独立の仕方や案件の獲得方法といった部分を知りたい方も多いと思います。現在、権藤さんはどのようなジャンルの案件相談が多いのでしょうか?

権藤氏:弊社でおもに携わっているのは、人事戦略の領域です。

具体的には、採用評価や原価管理などの人事データ活用やシステムの選定、配置の検討、定着支援など、経営陣や経営企画の方がタレントマネジメントの意思決定を行う際の下支えとなる支援業務が中心です。

スキルバ:戦略実行を支えるための組織構築が権藤さんのフォーカスポイントになるわけですね。

権藤氏:おっしゃる通りです。現在、多くの企業が導入・活用しているSaaSやERPといったシステムも実際、そこまで万能ではありません。

SAPやセールスフォースなど、さまざまなシステムを導入している企業が増えていますが、それによって、業務プロセスが定義されてしまうことに課題を感じているケースも多々あります。

例えば、データ活用を目的にタレントマネジメントシステムを導入した結果、権限やシステムの仕様上、想定していた使い方ができなかったというお悩みを抱えている企業も多いです。

だからこそ、自社が目指す事業戦略や業務プロセスに対して、適切なシステムの選定やマッチングの支援といったサービスに価値を感じている企業が増えています。

また、上場前の情報統制やガバナンスの整備に追われていたり、人的資本情報の開示を求められていたりする企業も増えている中、非常にニーズの高い領域だと感じます。

その辺りの課題を解決するために、人事業務とシステムによるデータ一元化を合わせて支援させていただいています。

大企業からベンチャー企業まで総合的に支援

スキルバ:権藤さんの会社では、どれくらいの規模の企業からご相談をいただくことが多いのでしょうか?

権藤氏:非常に幅広い企業からご相談をいただいています。数十万人規模のグループ企業から2桁規模のベンチャーまでさまざまですね。

私の場合、デロイトで最大20万〜30万人規模のグループ企業に向けて、刷新プロジェクトを主導していたり、ベンチャーで人事・組織開発に携わっていたりしていた背景があるので、その経歴から幅広くお声がけいただいているのだと思います。

スキルバ:幅広い規模のプロジェクトへの参入経験をお持ちの権藤さんですが、特に印象に残っている事例を教えていただけますか?

権藤氏:私の役割は、クライアントとコミュニケーションやプロジェクトを推進するにあたってのファシリテーションを通して全体の流れを作り、最終的に内製化するまでの支援です。

役割をまっとうするにあたって、上場前後のフェーズにおけるレポートラインの整備や、人事や財務、経営企画、現場など、部署間を一気通貫できる仕組みづくりが肝になると感じています。

また、事業規模に関わらず、クライアント企業における親会社・子会社・部門といった3つの縦階層と部署間における横の足並みを揃える業務は、第三者である外部の人間だからこそ、スムーズに進められる部分です。

だからこそ、我々のようなコンサルタントが、リーダシップを持ってゼロベースから総合的に支援する、クライアント企業とともに作っていく必要があると考えています。

コンサルタントとして独立後、案件を獲得していくためには

スキルバ:現在、さまざまな企業からご相談をいただいている権藤さんですが、独立直後はどのように案件を獲得していらっしゃったのでしょうか?

権藤氏:私の場合、最初の1年くらいは何でもやりました。

例えば、アルバイトを含む採用支援や新規でコンサルティング事業を立ち上げる際の支援など、本当に幅広い業務に携わらせていただきました。

前提としてマーケットインで考えていたので、独立するタイミングで過去の繋がりや周りで会社を経営されている方など、ありとあらゆる方にお声がけさせていただきました。

ご面談の機会を設けさせていただいて、ベンチャー、大手を含む3社でのコンサルティング経験や過去の実績などを包み隠さず申し上げたうえで「なにかお困りごとはありませんか?」「お力になれることはありませんか?」と御用聞きしていました。

聞き出した課題に対して、一つひとつ、選り好みせず応えていった結果、少しずつ規模が拡大していった形ですね。

幅広い案件をこなす中で「パーソナルマーケットフィット」を見つける

スキルバ:独立当初はリファラル中心で案件を獲得していらっしゃった権藤さんですが、その後はどのように変化していったのでしょうか?

権藤氏:先ほどお話した業務に加え、採用支援や人事制度の構築、経営者のコーチング、バックオフィスの戦略策定やDX支援など幅広い業務に携わる中で、自分自身のパーソナルマーケトフィットになるポイントを探しました。

業務の中には、労力を100かけても5の成果しか得られないものもあれば、10の労力で100の成果が出るものもあります。

ご相談いただいた領域に対して豊富な経験や深い知見を持つ私よりも、適任のコンサルタントがいる場合は、お客様にお繋ぎするなど、自分が担当する業務を絞り込んでいきました。

その中で成果を出し、他の経営者様へご紹介いただくことも増えた結果、現在の形態に落ち着いていきました。

事例や実績を発信していくことが大事

スキルバ:以前、お話を伺った際、顧客視点での営業活動が重要とお伝えいただきましたが、コンサルタントといえど、プッシュ型の営業活動は必要なのでしょうか?

権藤氏:もちろん、プッシュ型の営業も大事なのですが、事例や実績をホームページで掲示したり、個別にお伝えしたりだとか、自分・自社の強みを発信することが重要だと考えます。

弊社でも郵送DMやWeb広告など色々試してみましたが、結果的に認知が広がった部分はあるので、その辺りは積極的に取り組むべきですね。

コンサルティング案件を獲得するための集客術

スキルバ:さまざまな集客方法を試してみたとおっしゃいましたが、課題を抱える企業を探すためには、どのような手法が最適なのでしょうか?

権藤氏:先ほどお伝えした郵送DMやWeb広告以外にもfacebok広告、google広告など、今の事業形態に適しているのはどの手法か、一通り検証した結果、紹介が最適という結論に至りました。

独立当初は、想定競合からリストを出して郵送DMを送ったり、営業電話をかけたりなどアプローチしていました。

具体的には、最初に契約させていただいたお客様の業界や企業規模と親和性の高い企業が、現在、どんな人材を求めているかを知るために、求人情報を洗い出します。

私の場合だと、人事×テクノロジーの採用基準で求人を出している企業のニーズに刺さるので、該当する企業に営業をかけていました。

他には、ウェビナーから個別無料相談などの導線を引いて、集客する方法も試してみたのですが、費用対効果で考えると、創業当初のフェーズにはまだ早かったという印象でした。

上記のようにオンライン、オフラインを問わず、マーケティングを一通り試した結果、やはりすでに関係性のある企業と組んで、どんどん実績を作っていくのが一番早いと感じました。その辺りはスキルバさんの見解も聞いてみたいですね。

スキルバ:やはり立ち上げ期はリファラルから案件獲得を目指すのが定石なんですね。そこから規模を大きくしていくためには、他の集客方法も必要になると感じています。

急成長しているコンサルティングファームの場合だと、営業顧問を活用している方も多い印象です。

権藤氏:たしかに、皆さんそこはうまく活用されていますね。急成長のファームの中には、10人くらい顧問の方に入っていただいている企業もあるみたいです。

【独立希望者必見!】コンサルタントとして単価を上げる方法

スキルバ:独立後、なかなか単価が上がらず苦労しているコンサルタントも多いと思うのですが、そのような方へ向けて何かアドバイスはありますか?

権藤氏:お客様と直接取引をしている状況なら、こちらから単価の提案もできるかと思います。

ただ、大手企業とお取引する場合、代理店や大手ファームなど、リストを持っている企業からの子請け、孫請けといった形が多いかと思います。独立後も「コンサルタントとして育ててもらいながら案件を進めていく」といった意識が大切です。

実際、私も元戦略系ファームのコンサルタントの方からノウハウや知見を日々、学ばせていただきながら、業務に携わらせていただいているので、その辺りのメンター・パートナー選びも非常に重要だと思います。

昨今では、フリーランス向けの案件紹介サイトやサービスも増えていますが、それでも、直接関わるクライアントといい関係性を作り上げ、コツコツ期待に応えていくことで、お客様の方から提案を求められる機会が増えてきます。

その結果、単価も上がっていくので、最初はお客様に値付けをしてもらって、信頼関係を構築していくのがよいと思います。お客様の困りどころやフラストレーションが溜まるポイントをどんどん巻き取っていき、自分の価値を高めていってください。

ご満足いただけるサービスを提供できていれば「〇〇さんのところ安すぎるよ」と向こうから提案してもらえることも増えてきます。そのタイミングで単価を上げさせてもらうのがベストな方法だと考えます。

コンサルタントは副業でも価値を提供できる仕事!

スキルバ:本記事の読者の中には「コンサルタントは副業でも成り立つのか」といった部分に疑問をお持ちの方も多いと思うのですが、権藤さんの見解はいかがでしょうか?

権藤氏:実際、副業OKのコンサルティングファームに在籍している方に、弊社の業務をご支援いただいているのですが、すごくありがたいと感じています。

もちろん、本人のスキルレベルや経験にもよりますが、成果を出すためのアプローチ方法など端的なインサイトをいただけるのは本当に助かります。

また、副業で個人的な案件をこなすことで、将来的な可能性を知れるのはコンサルタントにとって非常に価値があると考えます。

特に、独立希望者にとって、ファーム以外で自分のスキルが通用する、価値を提供できるのかを副業という形で経験できるのは、非常に有意義です。

私自身、泥臭く動き回って、場数を踏んだ経験から自分にフィットする分野・領域を見つけたので、副業に挑戦するのは全面的に賛成です。

スキルバ:逆にコンサルティングファームではなく、事業会社に在籍しながら副業コンサルタントとして活動する場合はいかがでしょうか?

権藤氏:そのパターンも少なからずニーズはあると思います。

ご自身が事業会社で地に足ついて、血を吐きながらやってきた経験資産は、非常に価値の高いものです。特に、立ち上げ期や創業期の企業は、その経験やノウハウを求めていると思うので、最初は企業のお困りごとを聞くだけでもトライしてみる価値はあると考えます。

スキルバ:たしかに、副業で成功体験を積んでから独立に踏み切るのは、今の時代に沿った素晴らしい働き方かもしれませんね。
本日は貴重なお話ありがとうございました。


【週1・リモートでも稼働可】新規事業コンサルティングのプロジェクトを探している方はこちら

この記事を書いた人
スキルバアカデミー編集部