M＆Aアドバイザーは、仕事量が多く激務とされている一方で、インセンティブ比率が高く、結果を残せれば高収入が期待できる職業です。
近年は、事業継承が社会問題化していることもあり、豊富な経験と高度なスキルを持つM＆Aアドバイザーの需要がますます高まっています。
実際に、収入を増やしたい、キャリアの幅を広げたいなどの目的から、副業に興味を持っているM＆Aアドバイザーの方は多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、M＆Aアドバイザーの年収事情や激務といわれる理由をはじめ、副業として業務委託で働くメリット・デメリットなどについて、詳しくご紹介していきます。
また、副業・フリーランスでM＆Aアドバイザーを始める方法やおすすめのマッチングサービスも解説するため、ぜひ最後までご覧ください。
M＆Aアドバイザーとは
M＆Aアドバイザーとは、企業が合併や事業買収などのM＆Aを行う際に、専門的な知識を活かしてアドバイスを提供する専門家です。
M＆Aが成立するまでのプロセスでは、企業間のマッチングや交渉をはじめ、バリュエーション（企業価値評価）やデューデリジェンス （買収監査）、契約書の作成を行います。
そのため、M＆Aアドバイザーは会計や財務、法律や労務などに関連する幅広い専門知識と、交渉を円滑に進める高度なコミュニケーション能力も求められています。
M＆Aアドバイザーの年収事情
M＆Aアドバイザーの報酬は、「固定給」「インセンティブ」「業績連動賞与」の3つで構成され、M＆A成立時には高額な成功報酬支払われます。
東洋経済新報社が2023年3月に発表した「平均年収が高い会社ランキング」によると、M＆A仲介企業の「M＆キャピタルパートナーズ」が一位を獲得しました。
M＆Aキャピタルパートナーズの2,688万円という平均年収は、2位のキーエンス（電子機器メーカー）の平均年収2,182万円を大きく引き離しています。
ランキングでは、10位にストライク（1,432万円）、24位に日本M＆Aセンター（1,202万円）が入り、M＆A業界は平均年収1,200万円を超える企業が複数存在しています。
M＆Aアドバイザーが激務といわれる理由
M＆Aアドバイザーが激務といわれる理由は、主に以下の通りです。
- 実力主義で結果が重視される
- 仕事量が多く残業時間が多い
- 豊富な知識が求められる
それぞれについて、詳しく解説します。
実力主義で結果が重視される
M＆Aアドバイザーはインセンティブの割合が高く、結果を出せば高く評価され、得られる収入も多くなります。
一方で、努力していても結果を出せなければインセンティブが発生しないため収入は低く、周りからの評価も得られません。
そのため、成果をあげようと精力的に仕事に打ち込む人の割合が多く、結果として勤務時間や仕事量の増加につながっています。
仕事量が多く残業時間が多い
M＆Aの仲介は、企業価値を評価してマッチングを行い、交渉を重ねて契約を進めるなど、やるべきことが数多くあります。
また、複数の案件を掛け持ちすることが一般的で、昼間にクライアントと商談を行い、商談後は別案件の資料を作成します。
加えて、契約の最終段階に入るとクライアントと交渉し細部の調整を行うなど、業務量はさらに増加します。
しかし、その代わりにM＆Aが成立すると多額の成功報酬やボーナスが支給されるため、努力と忍耐が報われる仕事でもあります。
豊富な知識が求められる
M＆Aアドバイザーは、M＆Aを検討している企業や経営者に対して、豊富な専門知識を活かして適切なアドバイスを提供する仕事です。
企業ごとに状況が異なるM＆Aにおいて、適切なアドバイスを行うためには、担当する業界の動向や経済状況を把握しておく必要があります。
M＆Aアドバイザーが結果を出し続けるためには、日々変化するビジネストレンドの情報をアップデートし、常に学び続ける姿勢が求められます。
M＆Aアドバイザーが業務委託で働くメリット5つ
M＆Aアドバイザーが業務委託で働くメリットは、主に以下の通りです。
- 得意な領域に集中できる
- 年収アップが期待できる
- 自由な働き方を実現できる
- キャリアの幅を広げられる
- 人間関係のストレスが少ない
それぞれについて、詳しく解説します。
得意な領域に集中できる
雇用主が存在しない業務委託では、引き受ける案件を自由に選べるため、自分が得意とする領域に絞って働くことが可能です。
案件を得意な領域に集中させることで、効率的に業務を進められるほか、より専門性を高めることができます。
納得のいく仕事だけを引き受けて、特定分野でのスキルアップを図りたい人に、業務委託は最適な働き方です。
年収アップが期待できる
業務委託における報酬は、雇用契約のように固定額の支給ではなく、契約ごとの難易度や成果によって変動します。
そのため、高いスキルと専門知識を活かし高単価の案件を受注できれば、本業以上の収入を得られる可能性もあります。
また、受注案件を得意領域に集中すれば、これまでの経験と知識を活かせるため、会社員よりも低稼働で働いて、収入アップも期待できます。
自由な働き方を実現できる
業務委託は時間や場所などの制約が少ないため、自由な働き方を実現することが可能です。
定期的な休憩を挟むなど自分のペースで働けるほか、カフェやレンタルオフィスを利用するなど、仕事の進め方は全て自分の裁量で決めることができます。
生活に合わせてスケジュールを調整すれば、家事や子育て、趣味に費やす時間を確保しやすくなるので、プライベートを一層充実させられます。
キャリアの幅を広げられる
業務委託には、多様なプロジェクトやクライアントが存在するため、これまで経験してこなかった業界や領域の案件に挑戦することが可能です。
さまざまな案件に携わり幅広い経験を積むことで、自己成長につながるほか、キャリアの幅を広げることもできます。
本業で同じ仕事を続けていくと、仕事に慣れることで作業効率は向上しますが、新たな発見や成長のチャンスは生まれにくくなります。
業務委託で働き視野を広げられれば、本業の仕事にも新しい発見を見つけるなど、良い影響を与えるケースは少なくありません。
人間関係のストレスが少ない
業務委託は基本的に場所の制約が存在せず、個人で仕事を進めるため、人間関係で煩わされることがなく、ストレスが少ないことが特徴です。
業務委託でもクライアントがいるため対人関係は免れませんが、会社員と比較するとコミュニケーションは最低限で済みます。
業務上必要な人のみと関わるため、パワハラやセクハラなど、社内で発生しやすいトラブルに巻き込まれる心配もなく、安心して仕事に取り組むことが可能です。
M＆アドバイザーが業務委託で働くデメリット2つ
M＆Aアドバイザーが業務委託で働くデメリットは、主に以下の通りです。
- 案件を自分で見つける必要がある
- 労働基準法が適用されない
それぞれについて、詳しく解説します。
案件を自分で見つける必要がある
業務委託として仕事を確保するためには、人脈を活かして案件を紹介してもらうか、あるいは自分で営業活動を行う必要があります。
営業活動は時間と労力を要するため、本業の仕事を抱えていると、なかなか手が回らないという人も多く存在します。
営業活動に時間を割けない場合は、自分のスキルや経験にあった案件を紹介してくれる、エージェント付きのマッチングサービスなどを活用しましょう。
労働基準法が適用されない
業務委託は雇用契約ではないため、労働時間の制約や有給休暇の取得などの労働基準法は適用されません。
あくまでも成果物に対する契約ですので、自由な働き方が実現できる一方で、働き方次第では労働量に見合わない報酬しか得られない場合があります。
このような事態を避けるためには、スケジューリングをしっかりと行い、自己管理と業務管理を徹底することが重要です。
副業・フリーランスでM＆Aアドバイザーを始める方法
副業・フリーランスでM＆Aアドバイザーを始める方法は、主に以下の通りです。
- 人脈を活かす
- SNSやWebサイトを活用する
- マッチングサービスを利用する
それぞれについて、詳しく解説します。
人脈を活かす
副業・フリーランスとして仕事を始める方法のひとつに、知人や友人などの人脈を活かして紹介してもらう方法があげられます。
フリーランス協会が公表する「フリーランス白書2023」によると、仕事獲得の経路として「人脈」が最も多いという結果が出ています。
中小企業などでは人手不足のため、副業ワーカーやフリーランスを知人の伝手を頼って探しているケースも珍しくありません。
人脈を活かしコツコツと信用を獲得できれば、安定的な仕事の獲得と収入を上げられる可能性が高まります。
SNSやWebサイトを活用する
SNSやWebサイトを通じて発信を行い、フォロワーを増やし影響力を高めることで、多くの人の目に止まりやすくなります。
その結果、さまざまな企業や個人から直接依頼されるチャンスが増加するほか、セミナー公演や書籍出版などの思わぬ仕事につながる可能性もあります。
しかし、SNS経由での直接依頼は契約内容や報酬の支払い方法を明確にしておかないと、トラブルに発展してしまうケースも少なくありません。
仕事を引き受ける際は、ビジネス視点を持って、細部までしっかりと確認することが大切です。
マッチングサービスを利用する
効率的に案件を獲得したい人、または営業活動に時間を割けない人には、マッチングサービスが最適です。
マッチングサービスは、希望する内容や条件に合った内容の案件を担当者（エージェント）が見つけて紹介してくれます。
引き受ける前に、企業に対して直接聞きにくいことなども担当者が代わりにヒアリングしてくれるため、安心して案件を見つけることが可能です。
ただし、M＆Aの案件は一般的な副業マッチングサービスには存在しないことが多いため、M＆A専門のマッチングサービスに登録する必要があります。
M＆Aアドバイザーにおすすめしたいマッチングサービス3選
ここからは、M＆Aアドバイザーにおすすめしたい、以下3つのマッチングサービスをご紹介していきます。
- スキルバM＆A
- M＆Aクラウド
- PROSEED
それぞれについて、詳しく解説します。
スキルバM＆A
株式会社Alphaktが提供する「スキルバM＆A」は、M＆Aアドバイザー向けの高単価・好条件案件を多数提供しています。
スキルバM＆Aは、業界のプロフェッショナルたちがより充実したキャリアを築ける環境を提供することを目的としています。
月4日以上、40時間時間以上の稼働換算から参画でき、ほとんどの案件でフルリモートでの稼働が可能となっており、副業やフリーランスが稼働しやすいことが特徴です。
また、案件初期は必ず担当のコンサルタントがサポートに入るため、はじめて副業を行う人も安心して業務遂行することができます。
「スキルバM＆A」のサイトはこちら
M＆Aクラウドエージェント
株式会社M＆Aクラウドが提供する「M＆Aクラウドエージェント」は、業界最高水準のインセンティブ還元率と充実したインフラが特徴のマッチングサービスです。
「ノルマ・出社なし」×「固定報酬+インセンティブ最大50％」×「マッチングサービス」をテーマに掲げ、M＆Aアドバイザーに新しい働き方を提供しています。
M＆Aアドバイザーとして参画すると、オンラインM＆Aマッチングプラットフォームをはじめ、蓄積してきたデータの活用、バックオフィス業務の代行依頼などが利用できます。
「M&Aクラウドエージェント」のサイトはこちら
PROSEED
株式会社unlock.lyが提供する「PROSEED（プロシード）」は、完全審査制で面談による審査に合格した者だけが登録できるマッチングサービスです。
契約前に依頼企業とPROSEED担当者、M＆Aアドバイザーの3者で事前面談を行い、相性を確認するため、ミスマッチが起こりにくい環境になっています。
完全リモート、低稼働率、スポット〜長期まで、多様な案件が存在するため、希望に合った働き方を実現しやすいことが魅力です。
「PROSEED」のサイトはこちら
M＆Aアドバイザーが業務委託で働く際の注意点
業務委託契約は、個人事業主として請け負い、報酬は事業所得となるため、開業届の提出が必要になります。
ただし、さまざまな理由から開業届を提出しなかったとしても、実際に罰則やペナルティを受けることはありません。
しかし開業届を提出すると、青色申告ができる、屋号での口座開設ができる、小規模企業共済に加入できる、補助金・助成金の申請ができるなどのメリットも存在します。
また、当然ながら開業届を提出しない場合でも、事業をしている方は確定申告の義務が発生します。
確定申告の際に、青色申告を選択すると65万円の控除を受けられるため、特別な理由がない場合は、開業届を提出することをおすすめします。
M＆Aアドバイザーでよくある質問
最後に、M＆Aアドバイザーに関するよくある質問について、回答していきます。
M＆Aアドバイザーは転職と副業どちらがいい？
M＆Aアドバイザーとして今後のキャリアを考えた場合、転職と副業、どちらを選択すべきか悩んでいる方は多いと思います。
転職は、収入アップを期待できる、新しいスキルや経験を積める、労働環境を変えられる、人間関係をリセットできるなどのメリットがあります。
一方で、転職活動に失敗すると収入ダウンの可能性があるほか、職場の人間関係をイチから築かなければならないといったデメリットも存在します。
副業は、安定した収入を得ながら新しいチャレンジができる、本業をしながら副業することで確実に収入アップできる、今後のキャリアの幅を広げられるなどのメリットがあります。
デメリットは、自由時間が減る、確定申告が必要になる、長時間労働により本業に支障をきたす場合があるなどがあげられます。
転職と副業は全く働き方が異なり、それぞれに良し悪しがあるため、まずは自分に合った働き方を決めていくことが大切です。
業務委託という形で副業を行うことで、本業で安定収益を得ながら、新しい領域にも挑戦することが可能ですので、まずはマッチングサービスなどに登録することをおすすめします。
フルリモートでM＆Aアドバイザーとして活動することはできる？
業務委託契約の中には、稼働時間や勤務場所の制約がない、フルリモートで働くことが可能な案件も存在します。
実際に、「スキルバM＆A」のように低稼働でフルリモート可能な案件があると明記しているM＆A専門マッチングサービスもあります。
自由な働き方を目指している人、または営業活動に時間が割けない人は、このようなサービスを活用することで、希望する条件の仕事を見つけやすくなります。
まとめ
本記事では、M＆Aアドバイザーの年収事情や激務といわれる理由をはじめ、業務委託で働くメリットや注意点、おすすめのマッチングサービスについて解説しました。
M＆Aアドバイザーは、企業間のマッチングや交渉をはじめ、企業価値評価や買収監査、契約書の作成など業務幅が広く、労働時間が長いことが実情です。
しかし、M＆Aが成立すると固定報酬に加えて、多額の成功報酬やボーナスが支給されるため、努力と忍耐が報われる仕事でもあります。
近年では、M＆Aアドバイザー向けのマッチングサービスが増えており、経験豊富な人材であれば、少ない稼働時間で十分な金額を稼ぎ、自由な働き方も実現できます。
収入アップやキャリアアップを目指しているM＆Aアドバイザーの方は、本記事でご紹介した内容を参考に、ぜひ副業にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
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