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「社会に貢献できるWebサービスを!」これからの企業・フリーランスが意識するべきサステナブルな考え方<前編>

これからの企業・フリーランスが意識するべきサステナブルな考え方<前編>

今回は、スキルバでの委託業務と並行して、社会性インパクト評価やサスティナビリティ領域といった『自分のやりたいこと』を形にした「株式会社Creative Capitalism Japan(クリエイティブ キャピタリズム ジャパン)」を経営する「原 理花子さん」にお話を伺いました。

これまでのキャリアや独立背景、事業へのビジョンなど業務に関することはもちろん、人生観に影響を与えたコンテンツなどプライベートな質問にもお答えいただきました。

これから独立を考えている方が知っておきたい考え方や、ペーパーワークの取り組み方についてもアドバイスをいただきましたので、ぜひ参考にしてください。

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株式会社Creative Capitalism Japan代表取締役「原 理花子」さんの経歴

スキルバ:まずは原さんのこれまでの経歴を教えてください。

原氏:大学卒業後、エンターテインメント事業を提供する会社でWeb広告の営業に携わっていました。

それ以降、何社かスタートアップを経験後、大学で勉強をさせていただく機会があり、その経験から株式会社Creative Capitalism Japan(クリエイティブ キャピタリズム ジャパン)を立ち上げました。

社会に貢献できるWebサービスを実現するために独立を決意

スキルバ:どういったきっかけで会社を立ち上げようと決心したのでしょうか?

原氏:「なにか社会的に貢献できるWebサービスを生み出したい」というざっくりとした考えから今の会社を立ち上げました。

わりとノーアイデアで行動に移してしまったので、振り返ると会社を立ち上げるのはもう少し後でもよかったかもしれませんね。

スキルバ:勢いも大事だと思います。社会的に貢献できるWebサービスを作りたいと志した背景にはどういったエピソードがあるのでしょうか?

原氏:会社員時代、Web広告の営業として日々、予算を追う激務の中で、私は自分がなんのために働いているのか分からなくなっていました。20〜30代の貴重な時間をこのまま消費してしまっていいのかと葛藤し、転職を決意しました。

その後のスタートアップ時代、業務内で関わった動画クリエイターさん達の仕事への姿勢やクリエイターとしての在り方に感銘を受けたのが大きなきっかけです。

彼らの多くは、自分の好きなことややりたいことをはっきり認識したうえで、こだわりをもって仕事に向き合っていました。

そのような方々に感化されて「私は何をしているときに満足感を得られるのか」と考えるようになり、人にいいことをするのが好きだった私は社会的な活動に興味を持ちました。

そこからご縁があって、NPOの活動を定量化して評価する「社会的インパクト評価」を研究されている大学教授の下での勉強の機会をいただき、現在の事業の方針が固まった流れですね。

スキルバ:さまざまな出会いの中で自身の価値観が明確になっていったわけですね。お話いただいた経験を踏まえて、準備が整ったタイミングで独立に踏み切った形でしょうか?

原氏:整ってはなかったですね(笑)本当に「いまやらなきゃ!」といったやりたい気持ちが先行した状態で2017年4月に勢いで会社を立ち上げた形です。

スキルバ:でも大学卒業してから4年で起業するなんてすごい行動力ですよね。

原氏:その分、1社に在籍したスパンは短かったですけどね。反省点もいくつかありますが、なんとか6年間続いているので結果的にはベストなタイミングだったのかなとも思います。

創業から現在までの活動背景

スキルバ:創業当時は会社として何が必要なのか学びながら業務を行っていた形になるのでしょうか?

原氏:おっしゃる通りです。創業後1、2年は会社としての活動はあまりせず、Alphakt(アルファクト)さんや他企業様からの業務委託を受注しつつ、周りの人に聞きながら自分には何ができるのかを模索していく日々を送っていました。

スキルバ:2年間の準備期間を経て、会社の体制や事業計画が固まってきたわけですね。

原氏:そうですね。ただ事業計画というより、あくまでもやりたいことを作るための体制が最低限整ったという感じですね。

実際、やりたいことをサービス化するにあたって、いまだに課題は残っているのが現状です。制作過程で新たな需要を発見したこともあり、現在は企業様向けサービスを開発しています。

「社会的インパクト評価」と「サスティナビリティ業務」をサポートする2種類のサービスを開発

スキルバ:今まではどのようなサービスを制作されてきたのかお聞きしてもよろしいでしょうか?

原氏:1つめは、社会的インパクト評価をWeb上で行えるツールです。

内閣府によって、休眠預金をNPO団体の活動資金として活用する法案が可決された現在、各団体の活動内容や成果を定量化して報告することが求められています。

しかし、多くの団体にとって、実際どのように当該事業や活動を評価するのかが課題になっています。そのような課題を解決するために、Web上で簡単に社会的インパクト評価へ取り組めるようなサービスの開発を進めています。

ただ、「やりたい!」だけで進めてしまったので、プロジェクト開始時に進まない状況に陥ってしまい時間が掛ってしまったのと、マネタイズが難しく、今は眠らせています。

今後はこのサービスを形にできるよう開発を進めていくのはもちろん、この反省を生かしたうえでよりスムーズに自社サービス開発を進められればと考えています。

スキルバ:より良いサービスを形にしようとすると、さまざまな課題が生まれますよね。2つめのサービスについてもお伺いしてもよろしいでしょうか?

原氏:2つめは、企業のサスティナビリティ業務の効率化ツールです。

ESG投資や、世界的に企業のサステナビリティ経営の重要性が高まっている現在、上場企業はもちろん、非上場企業でも企業のサスティナビリティ対応が必須になっています。

ESG投資とは、財務面だけでなく環境問題や社会問題など企業の非財務面の取り組みを考慮して投資先を決定する手法です。

企業のサスティナビリティ領域への対応を格付けする評価機関も増えていることや、有価証券報告書に非財務面の情報を記載しなければならなくなったこと、また世界の企業との取引でもサステナビリティ対応をしていないとテーブルに乗れなくなっていたりと、あらゆる側面で大企業から中小企業まで幅広い企業から重要視されています。

ただ、サスティナビリティ業務では、環境問題や人権などの社会問題など幅広い対応が必要となるため、大企業であれば事業書作成レベルでの情報収集が求められます。

当社では、そのようなサスティナビリティ業務の負担を軽減するための改善ツールを開発しています。

1つめのサービスにおける反省点を生かした結果、開発は順調に進んでいます。

スキルバ:1つめのサービス開発における失敗を経て、新たなサービスを形するのはなかなかできることではないと思います。現在は、自社サービスの開発をメインに活動されているのでしょうか?

原氏:現在も業務委託は並行していて、スキルバの業務をメインにしつつ、社会的インパクト評価のコンサルティング業務にも携わらせていただいています。

社会的インパクト評価に関するツール開発にあたって、ホームページを作成して現在も公開しているのですが、そこからのお問い合わせがきっかけで業務を発注していただいて。それを思うと1つめのサービスも少しは利益につながってますね。

スキルバの業務と自社サービス開発を並行

スキルバ:スキルバではおもにどういった業務に携わっているのでしょうか?

原氏:おもに広告事業の営業や運用などコミュニケーション部分を引き受けています。具体的には、営業としてクライアントと商談するのがメインですね。

スキルバ:前職の経験を生かしてということですね。自社サービス開発とスキルバの業務の割合としてはどのくらいになるのでしょうか?

原氏:自社サービスの開発はパートナーを主体として動いているため、私は要約を聞いて今後の方針を判断しています。

私は委託された業務を遂行し、必要なキャッシュを捻出する担当です。そのため業務を割合で分けるというより、並行して進めている形です。

スキルバ:やりたいことを進めつつ、キャッシュも捻出できる理想的な体制ですね。創業当初から現在と同じ体制だったのでしょうか?

原氏:最初からではなかったですね。やりたいことと会社の運営を両立するには、人が必要だったため、自然と現在のような体制に落ち着いた形です。

クライアントと信頼関係を構築するには『付加価値』が必要

スキルバ:先程、キャッシュを得ながらやりたいことを実現させるには、クライアントとの信頼関係の構築が重要とお話いただきましたが、具体的にはどういった工夫をされているのでしょうか?

原氏:自社の活動や業務委託の内容に限らず、トラブルへの誠実な対応を心がけています。

また業務内には含まれていませんが、クライアントに必要な分野の最新情報をSNSやウェビナーを駆使して収集し、まとめて提出するのもひとつの工夫でしょうか。

「片手間でやっている」と思われて信頼を裏切らないように、既定業務+αの価値を提供するよう意識しています。

どれもそこまで時間がかかることではないですが、その作業によって信頼が得られるなら取り組む価値は十分あると考えます。

スキルバ:原さんが本心から信頼関係の構築を大事にしているのが伝わってきました。そう思えるようになった背景には、なにかきっかけがあるのでしょうか?

原氏:新卒で入社した企業での経験が大きいですね。当時、私が勤めていた企業では、独自プロダクトがなく、他媒体を提案するような代理店業務がほとんどでした。

一方、自社サービスやツールを持っている競合他社が多い中で、取引先として選んでもらうためには人間力で勝負する必要がありました。

その経験から顧客を獲得し、信頼関係を構築するために、自然と付加価値を提供する姿勢が身についたんだと思います。

スキルバ:新卒で入社した企業でそこまでの思考に至ったのは、周りの先輩やチームメンバーの影響が大きかったのでしょうか?

原氏:同じような意識を持っている方は多かったと思います。ですが、厳しい状況で決められた予算を追わなくてはならなかったため、自然と創意工夫が求められる環境だったのが大きいですね。

短い期間ではありましたが、独立後にも活きるいい経験をさせていただいたと感謝しています。

必要な情報を得るために投資は惜しまない

スキルバ:自社サービスの開発以外で投資してよかったと思えるものはありますか?

原氏:現在、大学で受講しているサスティナビリティ関連の授業は、投資してよかったと実感しています。

授業から知識を学べるだけでなく、サスティナビリティ領域に強い関心を持つ他の参加者の方と繋がれる点に大きなメリットを感じています。

逆にスタートアップで参加しているのは私だけで実際、企業の担当者としてサスティナビリティ業務に携わっている方などのリアルな知見を学べる場は、他になかなかないため、本当に投資してよかったなと思っています。

スキルバ:他では得られない貴重な情報を収集できる場ということですね。大学の授業にはいつから通われているのですか?

原氏:今年の1月からですね。まだ期間は短いですが、すでにLINEグループができていて、私のサービスの話などを皆さんに聞いてもらったりと仲良くさせてもらっています。

授業後には懇親会があって、その場でも勉強になるお話をしていただけるので、本当に貴重な機会をいただいているなと思います。

スキルバ:原さんの情報を取得しにいく前のめりな姿勢は、本当に見習わなくてはいけないなと思います。

やりたいことのために1週間の時間をフル活用

スキルバ:現在、1週間の流れとしてどういったスケジュールで業務に携わっているのでしょうか?

原氏:基本的に平日は業務委託と自社開発に掛かる業務を中心に作業をしています。それ以外だと、水曜日の夜と土曜日に大学でサスティナビリティ関連の授業を受けていますね。

日曜日は、大学の課題に取り組んだり、副業で業務に携わってくださっているデザイナーさんと自社サービスのMTGをしたりしています。

スキルバ:お話いただいた感じだと完全な休日はないようですが、意識的に設定していないのでしょうか?

原氏:意識的に休日を取っていないというよりは、やりたいことのために自然とスケジュールが埋まっていく形ですね。大学も自主的に通っているだけですし。

スキルバ:そこまでフルで活動できる背景には、一緒に活動しているメンバーからの影響もあるのでしょうか?

原氏:そうですね。もちろん自分がやりたいことだからなのは大前提ですが、メンバーから原動力となるエネルギーをもらっているのは間違いないですね。

クライアントと媒体者を円滑に取り持つ『コミュニケーションのプロ』を目指して

スキルバ:原さんが「どんな分野のプロフェッショナルなの?」と聞かれた場合、どのように返答しますか?

原氏:難しい質問ですね(笑)目標はコミュニケーションのプロと答えたいですね。代理店は、プロジェクトを円滑に進めることが最大の存在意義だと考えています。

クライアントの意図を媒体者に正確に伝えたり、お互いの意見を調整したりするためには、コミュニケーション能力がもっとも重要だと思っています。

スキルバ:たしかにクライアントと媒体者のやりとりを円滑に進められるコミュニケーションがあるのは強みですし、できる人も少ない分野かと思います。クライアントをつなぎ止めるためにも必要なスキルですよね。

そのような考えに至るきっかけはなんだったのでしょうか?

原氏:社会的インパクト評価の業務で有名大手企業の方と同じ仕事をした際、コミュニケーションスキルの高さに驚かされたことがきっかけです。

官公庁の方や、大学教授などさまざまな方がいる中で、担当者の方は飛び交う議論をうまくまとめて、最適な落とし所を作っていました。

そのスキルを間近で体感したことで、スムーズな対応を実現できるコミュニケーションスキルを持つ人がもっとも信頼を得やすいという結論に至りました。

次回はさらに、原さんが事業を展開していく上で計画しているファイナンスの考え方を公開します!お楽しみに。


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この記事を書いた人
スキルバアカデミー編集部